変動金利の魅力は何と言っても金利の低さにあります。2019年8月現在イオン銀行では、0.52%という超低金利です。
2000万円を返済期間30年で借りた場合、月々6万円です。この金利が長く続けば返済も楽になるのですが、変更金利には住宅ローン破綻を招く「未払い利息」というリスクが存在します。
この記事では「未払い利息」について解説します。
目次
変動金利のリスクの緩和策
変動金利には、急激な金利上昇が家計へ打撃を与えないために緩和策があることをご存知でしょうか?
緩和策とは以下に説明する「5年ルール」と「1.25倍ルール」です。未払い利息はこの「変動金利のリスクの緩和策」によって発生します。
5年ルールとは
金利はその時々の経済の状況によって変化します。金利の見直しの時期は毎年4月1日と10月1日の年2回です。急激な金利上昇の局面で、半年に1回の頻度で金利が変わってしまうと生活が追いつかなくなる恐れがあります。
生活を保護するための緩和策のひとつとして「実際の返済額は5年に1度だけ見直しましょう」というルールできました。これを5年ルールと呼びます。
1.25倍ルールとは
5年ルールによって5年に1度、返済額の見直しが行われます。その際、金利の上昇によって返済額が大きく上がったとしても、これまでの返済額の1.25倍を上限とするというルールです。
5年に1度の返済額のの見直しで来月から返済額2倍なんてことになれば、住宅ローン破綻する家庭が続出してしまいます。
緩和策は「未払い利息」を招く諸刃の剣
「5年ルール」と「1.25倍ルール」は、急激な金利上昇から住宅ローン利用者の保護する良く考えられた仕組みです。しかし過信できません。あくまでも状況を先送りするだけの対策です。
毎月の返済額は5年間は変わりません。返済額が変わらないだけで半年に1回は金利の見直しは行われます。返済する「元本と利息の内訳の割合」は一定ではないのです。金利が上昇すると返済額に占める利息の支払いの割合が大きくなります。
「先送りするだけの対策」と言ったのは、利息の支払いに追われて元金の返済が遅くなるからです。結果として総返済金額も増加します。それだけならまだ良いのですが、急激に金利が上昇してしまうと利息分が毎月の返済額を超えてしまう可能性があります。
返済額を超えた分が「未払い利息」となります。
この状態になると元金が一切減らないどころか、毎月「未払い利息」だけが積み上がります。
未払い利息が発生する具体例
変動金利で発生するリスクのある「未払い利息」メカニズムを具体例で紹介します。突然の金利上昇でパニックにならないために理解しておきましょう。
下記の条件で住宅ローンを借り入れたとします。
- 借入金額:2,500万円
- 返済期間:30年
- 金利:0.57%
- 毎月返済額:7.5万円
住宅ローンを借り入れてから1年後の金利見直しのときに「3.5%」金利が上昇した場合のシミュレーション結果です。
13か月目から未払い利息が発生します。5年後の返済額の見直しときには、未払い利息が30.5万円まで積み上がってしまいます。
毎月の返済額は1.25倍ルールのおかげで急激には上がりません。しかし減らない元本がある限り返済金額は着実に上昇を続けます。
今回の例では20年目以降は毎月の返済額は16.5万円になります。借り入れたときの毎月の返済額7.5万円なので9万円増です。一般的な家庭なら大打撃です。これが変動金利の怖さです。
極端な例かもしれませんが、変動金利で借りるのであれば今回のような事態を想定しておく必要があります。もっと言うと、このような事態に陥る前に先手先手で繰上返済できる家計が必要です。
未払い利息の解消方法は?
それでは「未払い利息」万が一発生してしまった場合、どのような解消方法があるのでしょうか。この方法は金融機関で異なります。
■三井住友銀行の場合
未払利息が発生した場合、毎回のご返済額は、未払利息・約定利息・元金の順に充当させていただきます。この結果、最終回返済額が指定したご返済額よりも大きく増えることがございます。
■住信SBIネット銀行
借入後5回目の10月1日基準日において、当社は、その借入金利、その適用時期における約定未返済元金、残存借入期間、本条4項の未払利息にもとづいて新しい毎回返済額(以下「新返済額」といいます)を算出するものとします。
■イオン銀行
最終返済日に未払利息および元金の一部が残存する場合は、最終返済日に一括してお支払いいただきます。
まとめ
変動金利は金利の低いため借入金額が多くなりがちです。現在の家計の収支を把握して身の丈に合った返済計画に心がけましょう。
営業さんからの受け売りですが、変動金利は固定金利で借りられる範囲内の金額に留めるのが好ましいです。
素敵な家づくりになりますように!